ミニガイドNo.10「花粉」

ミニガイドNo.10「花粉」

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商品詳細

はじめに


花には雌しべと雄しべがあって、花が咲いたときに、種子を作るための役割を分担していることは、だれでも知っていると思います。そのときに雄しべの葯(やく)から出てくる花粉が、だいじな役割をはたしています。


ところが最近は、花粉症になやまされる人が多くなったため、花粉はまるで悪者あつかいで、ますます有名になってしまいました。しかし、昔は聞いたこともなかった花粉症などという病気にかかる人が、最近になってなぜふえたのでしょうか。開発が進んで森が破壊され、木はおおいに減ってしまったのに、なぜでしょう。都会に出てきて花粉症にかかった若者が、スギの植林にかこまれた故郷の村に帰ったら、咳もくしゃみもしなくなったという例がけっこう多いことは、花粉症を初めとする現代病の原因を考えるヒントを与えてくれるのではないでしょうか。


甘くておいしい蜂蜜の中にも、花粉がたくさんはいっています。ミツバチを育てる栄養源は、蜜と花粉です。最近では人間が蜂蜜ばかりでなく、ミツバチが運んできた花粉だんごを巣の入り口で横取りし、栄養剤などに使っています。


花粉という名前はよく知っているのに、姿を見たことはあまり無いと思います。そこで、顕微鏡で花粉を観察する方法などについて紹介しようと思います。光学顕微鏡でみた花粉の写真集;島倉巳三郎著「日本植物の花粉形態」(1973)や中村純著「日本産花粉の標徴」(1980)、電子顕微鏡でみた花粉の写真集;黒沢喜一郎著「被子植物の花粉」(1991)が、自然史博物館の収蔵資料目録として発行されています。自然史博物館の普及センターでこれらの本の写真を見ることができますから参考にして下さい。

 


 目次


はじめに
 花粉
 花粉のやくわり
 花粉の運ばれ方
 花粉のできかた
 花粉の色

花粉を観察してみよう
 花粉のかんたんな観察方法
 <資料>スライドグラスとカバーグラス
 花粉膜を染色して観察するかんたんな方法
 <資料>カルベラ液の作りかた
 花粉の原形質を取り除く方法(アルカリ処理法)
 <資料>遠心分離
 花ごと処理して花粉の外膜だけを残す方法(アセトリシツ処理法)
 花粉の封入方法

花粉の形
 花粉粒の形
 花粉粒の集まった花粉塊
 花粉の極と赤道
 花粉の膜
 発芽装置(花粉管の出口)
 外膜表面の模様(彫紋)

いろいろな花粉

 


□平成5年3月31日発行
□執筆編集:那須孝悌(第四紀研究室)
□発行:大阪市立自然史博物館
□A5版全32頁