地震展2008-今わかっていること・知ってほしいこと-

地震展2008-今わかっていること・知ってほしいこと-

販売価格: 700円(税込)

在庫数 16
数量:

商品詳細

はじめに

私たちが暮らす日本列島は、世界でも最も地震活動が活発な地域であり、いくどとなく地震の被害を受けてきました。日本書紀に記された世界最古の地震の記録をはじめ、数多くの地震による被害の記録が残されています。
大阪もこれまでに地震によって大きな被害を被ってきました。江戸時代に起こった宝永南海地震や安政南海地震では、強い揺れによって家屋が倒壊し、湾岸地域では津波による被害が起きました。太閤秀吉の時代には京都から神戸にかけて強震動に見舞われた慶長伏見の地震(1596年)があり、北摂地域をはじめとして大阪でも大きな被害を受けています。最近では、1946年12月21日の昭和南海地震により被害を受けました。

しかし40年間も地震の被害がないと記憶は風化してしまうようです。
現に十数年前までいわゆる世間の声としては、「関西では被害が出るような地震は起こらない」と言われてきました。それを打ち破ったのが1995年1月17日早朝に起きた「1995年兵庫県南部地震」=「阪神・淡路大震災」です。

兵庫県南部地震の後も、鳥取県西部地震や芸予地震、能登半島地震や中越沖地震など、建物や道路の崩壊・人的な被害が出る地震が続いています。歴史時代の地震記録を調べると、南海地震の発生する数十年前から地震が多く発生しているという特徴があり、近畿地方を含む西南日本は新しい「地震の活動期」に入ったと考えられています。そしてこれらの地震活動は、近い将来に紀伊半島沖の南海トラフで起こる次の「南海・東南海地震」まで続くと考えられています。

いっぽう1995年兵庫県南部地震以降に日本国内では、地震計やGPSを利用した測地システムが密度高く設置されるなど、地震の観測網が飛躍的に強化されました。またそれらの観測データをもとにした研究も大きく進展しています。

活断層で起きる地震の危険性に対しても注目され、主要な98の活断層について調査が進められており、過去の活動履歴や最新の活動時期、平均的な変位量などが明らかにされています。それらをもとに文部科学省の地震調査研究推進本部から今後30年間に地震が起こる確率が公表されています。

本特別展では、地震とは何かという基本的なことがらから、大阪周辺の活断層の分布や活断層ごとの活動の歴史、南海トラフで起こる地震について科学的にどこまでわかってきたのかを紹介することで、地震に関する最新の知見を紹介しています。地震被害の記憶を風化さえることなく、防災意識を考える機会として役立てていただければと考えています。


目次

第1章 地震がおこる仕組みと地震のタイプ
1-1 地震と断層
1-2 断層と活断層
コラム:地球の内部構造
コラム:プレートテクトニクス
1-3 地震の起こる場所
1-4 日本はなぜ地震が多い?
1-5 沈み込み型境界で起こる地震
コラム:震源の深さと地殻の硬さの関係
1-6 火山性の地震
1-7 人間活動の影響によって起こる地震・人工的な地震
コラム:津波地震
スロー地震とは何か-巨大地震予知の可能性をさぐる-


第2章地震による災害
2-1 地震に関する用語
地震の基礎知識
・地震計のしくみ
・地震計の種類
・震源
・震度
・マグニチュード
・巨大地震のマグニチュード
・P波とS波
・地震箱をつくって、モーメントマグニチュードを比較しよう
2-2 強震動による被害
2-3 建造物の被害
2-4 斜面崩壊
2-5 活断層のズレによる構造物の被害
2-6 地盤の液状化


第3章 津波
3-1 様々な津波
3-2 津波のメカニズム
3-3 過去に日本を襲った津波
3-4 2004年スマトラ島西方沖地震とインド洋大津波
3-5 過去の津波を調べる:津波堆積物
コラム:津波石
3-6 津波予報
3-7 津波に対する防災と津波からの避難


第4章 大阪周辺の活断層と地震
4-1 大阪の地盤と地震
4-2 大阪周辺の活断層
4-3 活断層を調べる
4-4 活断層のトレンチから地震の周期を読む


第5章 南海地震
5-1 昭和の南海・東南海地震
5-2 繰り返し起こった南海地震
コラム:子どものころの地震体験
5-3 南海地震・東南海地震・東海地震
5-4 江戸時代の南海地震
5-5 昭和・安政・宝永の地震の大きさ
コラム:大坂にも襲う津波-安政の大津波-
5-6 南海地震の周期性
5-7 想定南海地震
5-8 地震の活動期・静穏期
5-9 次の南海地震
5-10 南海地震の震度予測・被害想定、大阪での被害想定
コラム:地震考古学


第6章 地震に備える
6-1 都市全体の地震対策
6-2 私たちの地震対策
コラム:緊急地震速報


第7章 おわりに
付録自然観察地図
引用・参考文献