昆虫の化石-虫の4億年と人類-
販売価格: 900円(税込)
商品詳細
1996年8月3日から10月6日まで開催された第23回特別展「昆虫の化石─虫の4億年と人類─」のガイドブックです。
はじめに
昆虫というとどんなイメージを持っていますか?気もちの悪いもの(毛虫・イモムシ)、刺されるとかゆいやっかい者(蚊)、家の中に無断で入ってくる失礼者(蛾など)、
ひとの物を勝手に食べる泥棒(ゴキブリ)・・・。あまりよいイメージをもっていない方が多いかもしれません。また、虫の好きな方もいることと思います。
昆虫の「昆」というのは「たくさん」という意味があります。私たちが生活している家の中や周辺、学校、公園などだけでも、ずいぶんたくさんの昆虫がいますし、ちょっ
と足をのばして、生駒山や金剛山のような自然の残ったところにいけば、もっとたくさんの昆虫たちに出会えます。また、博物館の展示や図鑑などでは、大阪のとはちがった
北海道や沖縄の昆虫、東南アジアの巨大な昆虫、地球の裏側の想像もできないような変ったかたちの昆虫などに目に触れることができます。
一方、古い時代の昆虫たちの中にも、いろいろな姿かたちをしたものがいました。どうしてわかるかというと、化石として石や土のなかに残されてきたからです。これまで
、世界中の学者が一生懸命それらを調べてきました。そして、それらによって大昔の昆虫のすがたなど、いろんなことがわかってきました。
昆虫の最も古い記録はデボン紀(およそ4億年前)という、たいへん古い時代のもので、恐竜たちがあらわれるずっと前のことです。そして、その後どんどんちがった姿かた
ちに進化してきました。なかには、現在みられる昆虫たちの祖先にあたる、たいへんよく似た仲間もいますが、子孫を残せずに途中で絶滅してしまったものもいます。昆虫は
この地球上に、他のいろいろな生物たち(恐竜や植物など)と、お互いに関わり合いながら生きてきたのです。
だいぶ新しい時代になって、地球上にヒトという動物があらわれました。このヒトも、昆虫をはじめ、地球の「先輩」たちといろんな形で関わり合うようになりました。氷
河時代の地層や考古遺跡から見つかった化石、また先人たちが残した歴史資料から見ると、ヒトと昆虫はそれなりに仲よくつきあっていたように見うけられます。
現代になって、たくさんの研究者が調べてきた結果、昆虫の種類や生態、進化など、いろんなことがわかるよいうになりました。しかし、人間は自然に目を向けることなく
生きていけるようになり、逆にどんどん無関心になっています。多くの人たちにとって、虫が悪ものになってしまったのは実はかなり最近のことで、他ならぬ私たちの世代に
なってからのことなのです。
あなたはいま、昆虫たちとどのようにつきあってますか?そして、これから先、どうつきあわなければならないと思いますか?地球の一員である人間は自然に対してどうあ
るべきでしょうか?今回の特別展があなたの意見をまとめるひとつの機会になり、昆虫たちとつきあっていくきっかけになればと願っています。(後略)
目次
はじめに
Ⅰ 昆虫の世界
1.地球は虫でいっぱい
「新種」の重み/種数と割合
2.昆虫の分類と進化
昆虫の分類/昆虫の起源と3大革命
Ⅱ 昆虫の化石
1.昆虫の化石とは
昆虫化石のしらべ方
古い時代の昆虫化石を研究した人たち
2.昆虫の化石
A.地質年代
B.古生代
古生代のようす
メガネウラと原トンボ類
すでに絶滅した昆虫たち
C.中世代
中生代のようす/日本最古の昆虫化石
恐竜時代の昆虫/恐竜時代の生き残り
D.新生代第三紀
第三紀のようす/辰巳峠の昆虫化石/
海上の昆虫化石/宝木の昆虫化石/
日本から発見された南方の昆虫の化石/
古琵琶湖層群の昆虫化石/
コハクの中の昆虫たち
E.新生代第四紀
第四紀のようす/
第四紀の昆虫化石の研究史/
野尻湖発掘で分かったこと/
ネクイハムシの生活と盛衰
Ⅲ 人と昆虫
1.考古遺跡で見られる昆虫遺体
納内6丁目遺跡/北白川追分町遺跡/
喜連東遺跡/鬼虎川遺跡/長原遺跡/
池上曽根遺跡/亀井遺跡/
難波宮跡下層遺跡/
藤原京跡の「便所遺構」/平城京跡/
水走遺跡
2.歴史資料で振り返る昆虫
虫へんの漢字/玉虫厨子/
古典文学の中の昆虫/鑑賞する虫
3.現代人と昆虫
漢方薬/養蚕/
食べものとしての昆虫/衛生害虫/
農林害虫
4.人と昆虫の未来
絶滅した昆虫・絶滅しそうな昆虫/
港から空港から入ってくる/
虫とどのようにつきあうか/
虫をもっとよく知ろう
参考文献
□B5版59頁